「マルチチャンネル」「サラウンド」
 ほとんど同じ使われ方をする言葉だが、意味は微妙に異なる。

 この記事では、それぞれの言葉の厳密な定義はさておいて、あくまでも管理人が意図するニュアンスと使い分けについて述べる。


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マルチチャンネル

 「チャンネル/Channel」とは音の出口=スピーカーのことで、マルチチャンネルは「複数のスピーカー」という意味になる。

 よって、スピーカーが2本=2ch≒ステレオのシステムも厳密にはマルチチャンネルな気もするが、おおむね「3本以上のスピーカーを使うシステム」がマルチチャンネルとして扱われる。
 一般的なテレビのスピーカーも、ヘッドホンも、2chである。


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サラウンド

 言葉通り、「囲まれる」「包まれる」といった意味。

 私のイメージとしては、「どのようなシステムか」よりも「どのような音か」という意味合いが強い。
 つまりサラウンドは「包み込まれるような音」という意味になる。

 複数のスピーカーを視聴位置を囲うように設置するというのが、最もサラウンドのイメージに近い。

 諸々の処理を施すことで「実際に2chしかスピーカーがなくともサラウンドっぽく聴かせる」システム(いわゆるシアターバーやサラウンドヘッドホンなどを含む)もある。

 豊かな空間表現をする2chのスピーカーシステムの「包み込まれるような音」を表現する言葉として、「サラウンド」が使われる場合もある。

マルチチャンネル・サラウンド

 「マルチチャンネル・サラウンド」とは、複数のスピーカーを視聴位置を囲うように設置することで、「切れ目のない包囲感」「全方位での音の定位感」「前後左右上下の音の移動感」を実現した、いわば「完璧なサラウンド」を意味する。

 スピーカーが2本ではこうだが……

 スピーカーが7本あればこうなる。


 「フロントスピーカー×2」「センタースピーカー」「サラウンドスピーカー×2」「サブウーファー」の計6本、「5.1ch」がマルチチャンネル・サラウンドの基本形として理解されている。さらに本数が増えた「7.1ch」や「7.1.4ch」なんてのもある。

 しかし実際には、センタースピーカーとサブウーファーなしの「4.0ch」でも、マルチチャンネル・サラウンドの醍醐味はほとんど完璧に味わうことができる
 経験者は語る。まずはもう2本、後ろに置くところから始めよう

 複数のスピーカーで構築したマルチチャンネル・サラウンド環境を真に活かすためには、再生する音源も「5.1ch」「7.1ch」「Dolby Atmos」といったように、はじめからマルチチャンネルで作成/収録されている必要があるゲームの「音声仕様」はこの点で非常に重要になる
 AVアンプ等には2ch音声になんらかの処理を施してサラウンド化し、複数のスピーカーに割り振る機能も存在するが、得られる「定位感」「移動感」はマルチチャンネル音声とは天地の差がある。とはいえ物理的にスピーカーの本数が多いおかげで、「包囲感」はそれなりに得られる。


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 少々過激なことを言ってしまえば、2本のスピーカーやヘッドホンを使うシステムは、たとえ「サラウンド」と名乗っていても、「真のサラウンド」ではないバーチャルサラウンドはどこまで行ってもバーチャルに過ぎず、リアルに複数本のスピーカーを用いるマルチチャンネル・サラウンドとは決定的に異なる
 「そんなこと言ったってリアルにスピーカーを置くのは色々な意味でハードルが高い」という反応があるのは承知のうえで、真剣にホームシアターに取り組んできた者として、サラウンドにおけるバーチャルとリアルの差は強調しておきたい。

 ちなみに最初から「サラウンドヘッドホン」として売られている製品ならばさておき、通常のスピーカーやヘッドホンを使っているなら、バーチャルサラウンド機能に頼らず、純粋な2chステレオシステムとして音を出した方が、結果的により良い再生音が得られる場合もある。


 というわけで、Game Sounds Funにおいて「ホームシアターならではのすごい音」を表現する際は、なるべく「マルチチャンネル・サラウンド」という言葉を使っている。
 が、(字面的に長いこともあって)単に「サラウンド」と言った時は、バーチャルの類ではない「マルチチャンネル・サラウンド」を意味している、と思ってもらいたい。

 純粋なシステム/機材の文脈では「マルチチャンネル」という言葉を使うこともある。


 ただし、Game Sounds Funではマルチチャンネル・サラウンドの魅力をおおいに伝えていきたいと思うが、それは「2chステレオには魅力がない」ことを決して意味しない

 「雑に構築した、単にスピーカーが多いだけのマルチチャンネル・サラウンド」は、「優れたスピーカーを使い、しっかりセッティングした2chステレオ」に、体験の絶対値では到底敵わないということもまた、覚えていてもらいたい。

 様々な理由で後ろにスピーカーを置くことができずとも、フロントに良質なスピーカーを導入すれば、その環境こそがまぎれもない「ゲームシアター」なのである。