既にPS3のHD EDITIONでごっついバージョン(サムネの箱)を買っているので、今回はダウンロード版にした。

 仕様上PS4版の音声がDolby Atmosではないのは残念だが、それでもPS4版の音声は7.1chに対応しており(体験版で確認済み)、元々がPS2タイトルであることを考えれば、凄まじい進化を遂げていることに変わりはない。それに、再生環境を突き詰めたチャンネルベースのサラウンドはオブジェクトオーディオになんら劣るものではない


 PS3/XBOX360世代になって以降、ゲームの「リマスター」が急に増えたと感じる。
 私はこの傾向を歓迎したい。ハードのスペックなどの理由からオリジナル版では妥協せざるを得なかった/実現できなかったものが、現世代機の潤沢な処理性能により可能になった結果、リマスターは単なる「改善版」を越えた「完全版」「完成版」にすらなり得るからだ。名作/傑作の価値をより普遍的なものにするうえで、リマスターがある程度の役割を担うことができると思っている。
 ちなみにリマスターでは解像度やフレームレートといったグラフィックの向上が注目されがちだが、音響面でも、オリジナルはステレオだったのがリマスターではサラウンド対応になるケースがある。ANUBISのように。

 一方で、ゲームのリマスターが「焼き直し」という批判を受けるところも目にする。「同じタイトルでまた金をとるのか」とか、「それよりも新作を出せ」とか、そんなことも言われている。
 しかし、画質音質の向上を求めて同じ映像作品をDVD・BD・UHD BDと買い続けてきたオーディオビジュアルファンからすれば、「リマスターのいったい何がいけないのだ」と思う。正直に言うと「また買うのか……」と心の片隅で思わなくもないが、それでも自分の愛するタイトルがより鮮烈な形で楽しめるという喜びが勝る。
 それに、多くのリマスタータイトルが登場することは必ずしもゲームの停滞を意味するものではないはずだ。リマスター版の発売で過去のタイトルが見直され、新たな展開に結び付くことだって考えられる。


 映像と音響の両面で、『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』はおおよそ望み得る最高のリマスターと言えるだろう。特に音響面では、PC版限定ながらDolby Atmosに対応するという最先端の仕様まで備えている。
 本作を動かせるだけのゲーミングPCとDolby Atmos対応ホームシアターの両方を持っている人がどれだけいるのかは定かではない。しかし、もしいるのなら、是非とも本作をプレイして、「未確認浮遊快感」が辿り着いた地平を体験してみてほしい。


 4K&7.1chで生まれ変わったオープニングのBeyond the Boundsは最高だ。



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